東京高等裁判所 昭和52年(う)2259号 判決
被告人 柳原宏
〔抄 録〕
所論は、要するに、原判示第三の事実について、原判決は、暴力行為等処罰ニ関スル法律一条の共同暴行の罪を認定判示するに当り、革マル派の三八名がそれぞれ二人以上の者から現実に暴行を加えられた事実を認定しないで、同罪の成立を認めているが、これは原判決が同条の解釈を誤り、事実を誤認したもので、右法令の解釈適用の誤り及び事実の誤認は、判決に影響を及ぼすことが明らかであるというのである。
そこで、まず原判決が暴力行為等処罰ニ関スル法律違反の罪として認定判示しているところを検討するに、原判決は、同判示第三の革マル派の三八名がそれぞれ二人以上の者から現実に暴行を加えられた事実を認定判示しているものと認められるのであって、このことは、原判決が右の点について弁護人らの主張に対する判断四、の後段において説示しているところからも明らかである。すなわち、革マル派と被告人を含む中核派が入り乱れて乱闘となった経緯、右乱闘に加わった両派の人数、その際使用された兇器の性状などの前記認定の諸事実及び両派共に固い同志的結合によって結ばれた組織的集団であることにかんがみると、本件乱闘の際中核派の構成員が竹竿で革マル派構成員に加えた個々の不法な有形力の行使は、その有形力の行使により竹竿が命中若しくは接触した個々の革マル派構成員に対する暴行であるにとどまらず、広くその行使された有形力の周辺にいる革マル派構成員に対する暴行と評価すべきものであるから、原判決の右事実認定は関係証拠に照らして十分これを肯認することができる。以上のとおりで、原判決には所論のような法令の解釈適用の誤りも事実誤認も存しないから、論旨は理由がない。
(四ツ谷 杉浦 阿蘇)